●デュアルコア
最近のパソコンはCPUのクロック速度がどんどんあがるばかりではなく、1つのCPUチップ上に2つのCPUを載せる、という「デュアルコア」があらわれてきた。このデュアルコアの技術は要するに2つのCPUを同一のパッケージの中に入れる、というものだが、もちろん技術的にはそれだけではない。問題というほどではないが、いくつか考えなければならないことが出てくる。
●ライセンス形式
まず、CPUのソフトウエアライセンスの問題がある。
2つのCPUにOSなどのソフトウエアが載る、というのは、これまでサーバマシンでしか考えられなかった。だから、「XX-CPUライセンス」というかたちで、CPUの数でOS等のCPUのライセンスの数を数えてきた。しかし、1つの筐体に複数のCPUが載る場合には、新しいライセンス形式を考える必要がある。
●CPUの速度
さらに、CPUの速度の概略を示す基準や、それを表示する基準としての「CPU速度」がクロックなどだけの数字ではわからなくなってくる。たとえば、2つ以上のCPUでは、2つ同時に演算ができるから、単純に速度は2倍になる(もちろん、CPUにあわせてソフトウエアが最適化されている必要がある)。
●進化の背景
しかし、こういった方向でのCPUの進化の背景には、要するに、ハ−ドウエア的な速度の追求が、そろそろ限界に達してきている、ということがある。
1つのCPUでの限界がそろそろ近くなってきたからこそ、CPUをいくつか並べて、見かけ上、CPUの速度を上げていく、という発想が生まれてくる。これは、グリッドやクラスタリングという方法で、すでにネットワーク上で複数の小さなコンピュータを動かし、スーパーコンピュータと同じ計算速度を得る、という発想と同じだ。
●進化が止まるとき
しかし、と、私は思うのだが、いまやネットの時代に入ったおかげで、前回紹介したGmailなどの、ネットワーク上のサービスが、これらのCPUの進化を止めていく、という感じがしている。非常に高速なCPUやハードディスクなどの周辺機器ができたところで、要するに、ほとんどのパソコンのユーザのする処理はたかが知れている。つまり、メールをし、Webをする。ときどきはオンラインゲームもする。要するにそれがほとんどだろう。
であれば、もうそんなにCPUパワーを必要とするところは、世の中にそう多くはなくなる。さらに回線速度が100Mbps以上が当たり前、という世の中になってきたら、いよいよ個人の持つパソコンの性能はほどほどでいいだろう、という世の中がやってくるような気がする。
●PCの次の時代
実際、いまどき、PCを買うときにCPUの性能を気にするのはよほどのマニアかゲームヲタクくらいのものになった。本当の数の多い一般ユーザは、自分の持っているパソコンのCPUの速度さえわからないことだろう。気にする必要はないものだからだ。
いま、私たちが迎えている「PCの次の時代」は、パソコンはなくなり、ぼくらの目の前にあるのはネットにつながっている画面とキーボードとマウスである、という、そんな時代なんじゃないだろうか?
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