●提携の標的
ついこの前の10月3日、GoogleがSunと提携をする、というニュースが入ってきました。米国のITやその周辺では、GoogleもSunも、そしてYahoo!もStanford大学から出たベンチャーです。
いま、これらの企業群が、満を持して狙っている標的は、言うまでもなく、レッドモンドのMicrosoft社ということになります。
●キーワードはJava
特に今回の提携で一番重要なのは、この業務提携が「Java」をキーワードにしている、というところです。ご存知だと思いますが、いまやIT関連のプログラマでJavaのプログラマはかなりの需要があります。つまり、それだけ仕事も多い、ということです。そして、MicrosoftはJava-VMをWindowsに搭載しなくなったものの、Javaはどんなシステムにも使われる、第二のOS、アプリケーションプラットフォームになっています。
●プログラムをJavaで書く
Javaの基本的仕組みはこうです。PC側にJava-VM(Virtual Machine - 仮想マシン)というソフトウエアをインストールすると、そのVM上で動くJavaで書かれたプログラムが、必要に応じてWebブラウザによって、サーバから読み込まれ、実行されます。そのさい、PCがMacでもWindowsでも、あるいはLinuxでも、同じ動きをします。もちろん、Javaにはこの基本的なもの以外にいろいろな動作をするものが作られています。サーバ上で動く「サーバサイドJava」などですが、これはJavaのサブシステム、という感じです。
つまり、Javaで表計算ソフトウエアを1つだけ書いてあれば、そのソフトウエアはWindowsでも、Macでも、Linuxでも同じように動きます。もし、私たちが普段使っている表計算とか、データベースとか、あるいはワープロがすべてJavaで書き直してあれば、どういうことになるでしょうか?
そうなると、ソフトウエアは現在のようにパッケージを買ってくるものではなく、必要な機能をその都度オンラインで借りるものになるでしょう。今のパッケージソフトウエアは、よく考えれば割高ですよね。つまり、自分は一生使わないであろう、という機能が山のように入っていて、そしてあの値段がついているからです。
●Javaの活用例
たとえば、あなたが銀行残高を調べ、その中から住宅ローンを払う、という場面を考えてみましょう。毎月のように払うローンはいつ終わるのか?なども調べるとしましょう。まずは銀行残高を調べてから、自分で作った、あるいはどこかから持ってきた表計算のフォームを使い、毎月の収入を入れてみます。
そして、あと何年かかれば払い終えるかを調べたりします。「では、毎月の支払いを積み増ししたらどうなるか?」も、もちろん調べます。これらの計算を終えた後、あなたは、サーバに問い合わせます。すると、サーバは「今回の表計算ソフトの使用料金は、1回XX円、そして、XX関数の使用料金が一回XX円、合計、XX円」と出てくることでしょう。これがあなたの表計算ソフトウエアの利用料金です。そして、その料金は、パッケージソフトウエアを買うよりもはるかに安いものになるでしょう。
●パッケージソフトウエアが無くなる?!
簡単にいえば、Javaが完全に実現されるネットワーク社会は、パッケージソフトウエアがなくなり、オンライン・レンタルのソフトウエアの世界になるのではないでしょうか?。
私は、これがブロードバンドをベースにした、本当のネットワーク社会なんだろうと思います。そして、やがてはオフィス関連ソフトウエアだけではなく、OSそのものも、同じ仕組みで供給されるようになるとすれば、私たちはOSのアップグレードごとに、高いお金を払う必要はなくなるかも知れません。
●新しいネットワーク社会
GoogleとSunがJavaを使って目指す新しいネットワーク社会というのは、実はこういうことなのではいないでしょうか?そして、そのときに、なくなる会社はどこになるのか?わかりやすい変化が、ひょっとしたら起きるのではないか、と、私はこのニュースを聞いたとき、疑いました。
おそらく、そう、なるのでしょう。
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