●統計解析とは
いま、私が構築している医療系のシステムでは、「統計解析」が必須です。つまり、統計解析の結果を多項式として表現し、その多項式にある値を入力することによって、ある現象がこれからどうなるか、ということを予測する、というシステムです。
このシステムを使うと、たとえば「生活習慣病」で、何年後に、あなたは糖尿病になる確率が何十パーセントあります、という「こたえ」が、数字として出てくるようになります。ある複雑な現象の一側面を切り取り、その現象にある傾向を評価し、応用がきくようにする。これが統計解析と、それにもとずく予測を行う世界です。
●結果のとらえかた
もっとも、これが癌などの病気で「あなたは遺伝子を調べたところ、5年後に乳がんになる確率が70%あり大変に高いです」という結果が出て、そのために自分の胸を取ってしまった、という女性もアメリカにいます。
ここまでくると、こういう結果を出したほうがよかったのか、悪かったのか?ということにさえ疑問がわかないでもありません。
●金融工学
古くからこの方法を使って、実際に予測をしているのは株などの世界ですが、この世界はさまざまな研究が行われていて、それに「金融工学」という名前がついています。
統計や確率といったものを利用すると、複雑な物事の複雑なメカニズムの部分に触れることなく、それを外部から現象としてだけ眺め、それを「使いこなす」ことができる、と、信じられています。つまり、複雑なものを扱い、それを使ってなにかをしたい、というときの「足がかり」として、統計や確率、という数学が必要になるのです。
●これから需要が見込める
いま、バイオのような自然科学の世界、物理学の世界、そして、多くの人間のいる「社会」を扱うマーケティングのような世界では、この「数値統計処理・確率」のエキスパートが大変に強く求められています。
いま、あなたが、学生で、理数系、工学系である場合は、この分野に進むと、大変に需要がある、ということは覚えておいて損はないと思います。
●数値を読む勉強
そして、コンピュータを利用する、という意味もまた、大量のデータを大量に処理できる、というところに特徴がある以上、ここにしかないとも言えます。おそらく、これからのコンピュータ利用は、数値統計、解析、そして予測、というところに大きく傾いていくのではないかと、私は思っています。
そして、これらの数値を読み、自分の人生をそれに賭けて判断をする、ということもまた、される世の中になるでしょう。であれば、その出てきた数値を読むほうも、かなりの努力を払って統計の勉強はしておくにこしたことはありません。
いま、そういう世の中になりつつあるのだ、と、私は最近考えています。
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