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第40回 ネットは都会と心得よ
 

 

●ネット上のトラブル

  ネット上も、普通の社会になってきましたから、普通の社会と同じようなコミュニケーショントラブルが頻発します。また、そういうトラブルに巻き込まれれば、ストレスもたまるものです。決して良いことはありません。
  なにを隠そう、私もまた、何度か、ネット上でのコミュニケーショントラブルに巻き込まれていますが、数としてはそう多くはありません。

  ネット上の人間同士のトラブルは、実は普通の人間社会のトラブルに比べて、ちょっと違うところがあります。特に最近はblogなどの公私の分かれ目をどのように切ったらよいか、というところが大変に難しい「メディア」が増えていますので、いっそう慎重になる必要があります

●ネット独特の問題

  ネット上では、日本国内であっても、いろいろな地方の方がいらっしゃいます。つまり、地方独特の社会問題などは、ネット上では全くない代わりに、ネット上でそれが一度出てしまうと、地域ごとのものの考え方の違いがさらけ出される、というところがあります。
  「そんなこと、言わなくてもわかるはずだ」ということと「いや、言ってもらわないとわからない」というようになってきます。

  ネットはさまざまな地域の人が集まる出会いの場、という意味では「都会的」です。つまり、こういうときのトラブルの解決方法は「都会的」にする必要があります。

●「都会的」にするには?

  ネットでは都会的にする必要がある、ということは、具体的に言えば、ことばにならないものは、行動にしろ、発言にしろ、出さないこと、ということです。ことばになったものがすべて、というようにものを考えることです。
  人とのコミュニケーションにおいて、共通の基盤は、その「共通のことば」だけ、というところからすべてを始める、ということです。しかし、なかなかこれが難しい。社会的なバックグラウンドは、それぞれが「自明なもの」として持っているものなのに、いちどこれを客観視し、あるいは否定して、そこからことばによる表現ですべてを書いていく、という作業は、ある人にとっては苦痛以外のなにものでもなかったりします。

●ネットは論理

  ことばで書く以上、そこには論理が必要になります。
  ラテン語で「ことば」のことを「ロゴス」といいますが、これは「ロジック(論理)」と語源が一緒です。つまり、ことばにする以上、そこには詩であっても、なんらかの起承転結が生じるから、そこに論理が生まれざるをえない、ということを言っています。
  そして、ネットはいまやこの「論理」「ことば」のるつぼです。理由の無い元気はカラ元気であり、理由のないお金は生じてはならない、ということになります。実際には、そういうこと、あるんですけれどね。でも、ネット上では許されないところがある。

●ネット社会で生きるために

  ネットの社会は、メールにしろWebにしろ、blogにしろ、その読み書きをして仕事をする社会です。この社会で生きていくには、「ことば」の訓練が必須であることを忘れないようにしましょう。
  ことばとはなんであるか、ということを自分でがっちりつかんで、人の借り物ではない、どこかできいたふうではない、自分のことばでものを語れるようになることが必要です。そして、ことばをはじめとした「表現手段」は、音楽にしろ、あるいは絵画にしろ、みんな訓練と努力が必要なものなのです。ネットで生きる、ということは、これらの訓練を不断に自分に課していく、ということでもあります。

  ネットでのコミュニケーションに必須な「ことば」。そのことばについて、もう一度、考えてみてください。

 

 
     
   
  ※ここでは、このコラムの著者三田典玄氏が撮影された写真の中から、著者選りすぐりの作品を毎回数点ずつ掲載しています。  
 


冬の浜辺