そろそろ年末なので、というわけではありませんが、ITの業界をちょっと振り返ってみましょう。
●携帯電話
一般の人がお金さえ出せば買える、という携帯電話(当時は肩からかける大きなトランシーバのようなかたちをしていた - ショルダーホンといった)が日本で最初に登場したのは1985年です。
手で持つ携帯電話はTZ803型という型番のものからですが、これが1988年。携帯電話がデジタル化されたのは1993年です。そして、いわゆる「iモード」で小型軽量の携帯電話でメールができることが当たり前になったのが、1999年です。
私も昔はこのTZ803を使っていました。そうしょっちゅうかけていたわけではないのですが、それでも当時の電話代は毎月8万円〜10万円はかかったと記憶しています。重さは660gもありますから、現在の携帯電話のおよそ7倍の重さでした。
●インターネット
インターネットそのものは、けっこう古いものです。今のインターネットに近いものは米軍の「ARPANET」ですが、これは1969年にできました。しかし、インターネットがTCP/IPによる相互接続で身近になってきたのは、なんといってもブラウザの登場からでしょう。
ブラウザは1993年に登場しました。それまでは、ftp、telnetといった文字ベースのユーザインターフェイスを持ったインターネットのアプリケーションが主でした。つまり、実質的なインターネットの大衆化の始まった年は、この1993年と思ったほうが良いでしょう。
その後、1995年の末にMicrosoft社のOSであるWindows95が発売され、いっぺんにインターネットの時代がはじまりました。私たちの仲間は1986年くらいから「インターネット」という単語を今のような意味で使い始めましたが、その当時は誰も「インターネット?なにそれ?」という感じであったのを覚えています。
●デジカメ
同じ1995年、CASIOからQV-10という、現在のデジカメの原型になるものが発売されました。カメラというより「映像メモ」という感じのものでしたが、それでもかなり売れました。いま、デジカメのトレンドは高級志向の「デジタル一眼レフ」に向かっていますが、既にレンズ交換式のデジタル一眼レフは、レンズもついた値段で10万円を切る機種も出てきました。
●まだこれしかたっていない
手軽にインターネットメールができる携帯電話の登場が2000年ですから、私たちはまだこの機器に、10年も馴染んでいないのです。
また、デジカメ、インターネットも、結局は1995年ごろから大衆化がはじまったわけですから、これも来年でやっと10年。
私たちが一般的と思っているデジタルアイテムは、みなまだこのくらいの歴史しかない、というのはなんだか不思議な気がしませんか?このデジタルとネットワークの急激な発達が人間社会になにをもたらすのか、ということは、まだまだわからないところがあります。デジタル技術は急激に発達できたとしても、人間のメンタリティや社会などは、そう簡単に変われないからです。
変化が本当に始まるのは、これからでしょう。その変化をリアルタイムで見ることができる私たちは、幸せ、なのでしょうか?それとも不幸、なのでしょうか?
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