●PCへの脅威の種類
どこでもよく言われていることですが、ネットに接続されているPCには、数々の外部からやってくる「脅威」があります。なかなか整理して語られることがないので、まずはいくつかの種類に整理をしてみます。
1.メールでやってくるウィルス
メールに添付されたファイルを開くと、PCを止めたり、ファイルを壊したり、あるいはファイルを別の人間にメールで送信する、というようなおかしな動作をはじめる。あるいは、メールに書かれているURLをクリックすると、そのURLに接続されて、ブラウザ経由でおかしな動作をするプログラムが、そのPCにインストールされ、動く。
2.スパイウエア
Webの閲覧などで、知らないうちにPCにプログラムが埋め込まれ、そのプログラムがPC上にある個人データやファイルなどを定期的に、決まったところに送信する。表面上はなにもおかしな動作がないので、埋め込まれたことさえ気が付かないことが多い。
3.ワーム
メール、Webともに関係なく、PCを直接攻撃して、PCにおかしな動作をさせるためのプログラムを埋め込む。結果はウィルスなどと同じだが、PCの操作をしている本人の「メールの添付ファイルを開ける」などの動作を伴わない。
外部からそのPCを特定して入ってくる必要があるため、グローバルIPアドレスを持つマシン(サーバ等)が主に狙われる。
こんなところが大きな分類です。
●対策はどうするか
以上の3つの分類ごとに、必要な対策は決まっています。
1.メールでやってくるウィルス対策
知らないところから来た添付ファイルつきのメールは、その添付ファイルを一切開けないこと。
通常はメールソフトの設定で、メールを読む際に、そのメールの添付ファイルを自動的に開かない設定にします。また、不審な添付ファイルつきメールを受け取ったら、メールそのものを直ちに消去することです。さらに、ブラウザを開くことを要求するURLつきのメールも、即座に消去します。
ウィルス対策ソフトの利用も有効ですが、使わなくても通常は問題はありません。
2.スパイウエア対策
スパイウエアは、知らないうちに入っているものですから、そのままではわかりません。従って、スパイウエアを検出して消す、という積極策をとります。
無料で配られているスパイウエア対策ソフトをインストールして使うのがもっとも良い方法です。おそらく、はじめてこの対策ソフトを使ってみると、「こんなに入っていたのか!」と驚くことが多いと思います。
3.ワーム対策
以上の分類から「3.」のワームは、通常の会社や自宅で使っているPCでは、あまり気にする必要はない、ということがよくわかります。
しかし、それでもまったく問題がない、というわけではありません。グローバルIPアドレスをネット上に出していないPCでは、通常はワーム対策は必要ありません(例外はあります)。ということは、まずワームへの対策は、必要ないのにグローバルIPアドレスを外部に出す、という設定をしないことです。
どうしても外部にグローバルIPアドレスを出さざるを得ない場合は、ファイア・ウォールを使うことと、OSのワーム対策されたUpdateを頻繁にしておく、ということです。
●お金をかけないで対策
実は、筆者はPCを数台いつも仕事で使っていますが、どれもウィルスなどに狙われやすい、と言われているOSをインストールしています。しかし、ここ数年、ウィルス対策のソフトを一切使うことなく、その被害はまったくありません。別にケチをしているわけではないのですが、本人が上記の対策をして気をつけていれば、それでも充分、ということです。
PCの外部からの攻撃で一番多い被害は「1.」であることは論を待ちません。そのため、ウィルス対策ソフトが大変に多く売られていますが、結局は上記の対策で済むことが大変に多い、ということです。
そこで、以下に、「あなたのPCを守る一番簡単で安価な方法」を列挙しておきます。
> 絶対にするべきこと:
1.メール読み込みのさいに、添付ファイルを自動的に開かない設定にする。
2.知らないところから来たメールは読まずに捨てる。
3.メール中にあるURLをクリックしない。
> できればしておくべきこと:
4.無料のスパイウエア検出・除去ソフトを入れて動かす。
5.Windowsであれば付属のOutlookExpressなどのメールソフトがありますが、これを使わずに、新しいメールソフトを入れて使う。無料のものもあるので、それを入れればお金もかかりません。
6.Windowsであれば付属のWebブラウザであるInternet Explorerを使わない。他の種類のブラウザを入れて使う。
通常、この程度のことをしておくこと・気をつけておくことで、PCの外部からの攻撃から身を守れます。
今までのPC業界のウィルス関連などの情報は「なんとか消費者にお金を使ってもらおう」というところがとても多くありました。しかし、いまやそういう時代ではありません。消費者が求めているのは「いかにお金と労力を使わないで、目的を達成できるか」ということです。
ウィルス対策などのいわば「負」の方向を向いた被害対策は、特にお金をかけたくはない、予防であればなおさらかけたくはない、というのがホンネでしょう。PCの防御は、なんらかの商品を使わなくても、今ではかなり簡単にできるものなのです。
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