インターネット実務検定協会 インターネット実務検定協会ロゴ
ホームに戻る 協会の概要 Q&A コラム リンク お問い合わせ サイトマップ 資料請求
 
   
  パソネタ3分クッキング  
   
     
 
第32回 P2Pの新展開
 

 

●いよいよ始まった公判

  かの「47氏」こと、匿名P2PソフトウエアWinnyの開発者である金子勇氏の公判が始まりました。一方で、米国では「P2Pソフトウエアやそれを提供するサービスそのものは違法ではない、という司法判断が出ています。

  また、フランスでは「音楽CDにかけられているコピー防止の仕組みは消費者の権利を侵害する」という訴えを受けて、その是非を問う審判が開始されました。

●「ベータマックス訴訟」

  実際、米国では既にビデオ機器で「ベータマックス訴訟」という有名な訴訟がありました。この訴訟では、SONYが米国で売っている家庭用ビデオ機器は、テレビ番組の著作権を持っている製作会社に対する著作権侵害を助けているから、その機器を作ったメーカーも同罪である、という主張がされ、その是非をめぐって争われていました。しかし、この訴訟は退けられ、現在に至っています。

●MDなどの機器の場合

  さらに、現在ではMDなどの音楽がCD等から録音できる機器には、プロテクトがかけられており、CDからMDへの「子コピー」はできても「孫コピー」はできない仕組みがあります。
  また、MDの価格には、その中に数%だけ、著作権協会への「著作権補償料金」とも言えるものが入っています。

●ネットの時代へ

  過去の事例、そしてその本質的な話を総合しますと、今回の金子氏の事例がもしも「著作権侵害幇助」ということで裁判所で認定されるようなことがあれば、Windowsを作っているMicrosoft社も、インターネットを作った人たちも、同じように罰することが必要になってきます。

  インターネットはデータにできるあらゆるものを世界中に簡単にコピーすることができるようにする道具ですから、これは当然のことと言えるでしょう。簡単に言えば、今の世の中というのは、既に著作権やそれを元にした「ビジネスモデル」が、インターネットによって崩壊を始めている世の中であると言えます。

●悪いこと、良いこと

  今の世の中は、ある意味できあがっているものが多く、新しいものを開拓していく、ということが非常に減っています。開拓すべき荒野そのものが見つからないのです。
  ですから、人々はどうしても既存の社会や既存の権利に守られてしか自分は生きていけない、と思い込んでしまいます。本当は、社会というものも、お金というものも、ある意味「人間が生きていくための道具の1つに過ぎない」という視点がなくなってしまっています。著作権もまた、そういう仕組みの1つではないでしょうか?

  私たちは、本当はなんのためにこの社会を作っているのでしょうか?生きていくため、あわよくば、みんなが気持ちよく生きていくため、です。
  インターネットという存在がこの世の中で認知されてから、まだ20年もたっていないわけですが、ある意味、硬直化したこの社会に「インターネット」が投じた「著作権」というものへの懐疑は、きっと、こういうことを根本からあらためて考えさせてくれるきっかけになるように、天が私たちに与えた小さなきっかけかも知れません。

  この問題を「大事に」議論する必要が、私にはあるように思います。

 

 

 
     
   
  ※ここでは、このコラムの著者三田典玄氏が撮影された写真の中から、著者選りすぐりの作品を毎回数点ずつ掲載しています。  
 


The Yosemite vally


The Yosemite vally


The Yosemite vally