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第24回 小学生の事件に見る「ネット」の報道
 

 

●事件は起きた

  テレビなどのマスコミで散々取り上げられている事件のうち、子を持つ親にとってもっともショッキングな事件は、やはり佐世保での小学生同級生殺害事件でしょう。
  また、その報道によれば、加害者の女子はネットでの「チャット」などから殺意を抱いた、ということも報道され、これに呼応して文部科学省もネットをこどもにどのように教えたらよいか、についていろいろな取り組みを行う、ということが報道されました。

●ネットはどれくらい関係があるのか?

  この事件の舞台背景として、「ネット」は目新しい、と言う印象が強く、それが前面に出されて報道されることが多かったのですが、本当に「ネット」が「悪者」なのかどうか、良く調べる必要がある、と私は考えています。

●過去を調べる

  過去を調べると、日本では戦前から小学生、中学生の殺人事件はかなり多く起こっています
  また、こういった未成年の殺人事件の場合、その多くが加害者の将来を考えて、当事者どうしの示談により「事故」として処理される件数のほうが圧倒的に多く、今回のようにそのまま報道される場合は少ないようです。さらに、その事件の多くが、ネットなどまるで無い時代にあった事件です。

  横溝正史の「八つ墓村」、松本清張の「闇に駆ける猟銃」などの小説の元になったといわれている、実際にあった事件があります。今では「津山30人殺し」という名前で呼ばれています。

  ときは昭和13年、場所は岡山です。このとき、犯人である22歳の普段はおとなしい青年、都井睦夫は「長いあいだ村の者にばかにされた」という鬱憤を晴らすために、この事件を計画した、と言います。
  彼は一晩に33人の村の人間を殺害しています。当時はもちろんインターネットなどはありませんでした。こういうことは昔からあったのです。

  まさに、若年の人間の起こした事件ですし、動機も今回の事件の加害者が言っている動機と似ています。

●「ネット」は本当は脇役である

  ということは、今回の事件では、ネットは脇役、と考えるほうが良さそうです。ネットを主役と考えるような報道がされるのは「そう思いたい人がたくさんいるから」という報道をする側の思い込みに過ぎません。

  また、そういう報道をすれば視聴率が上がる、という思い込みもあるかと思います。さらに、「普段は考えられない常識を逸した事件」であるので、「なにか新しくてわけのわからない要素がどこかにあるはずだ」という思い込みもあるでしょう。本当は、こういう事件(殺人に至らないまでも)はあちこちで常に起こり続けている、日常的な普通の環境から出ている事件なのです。

  しかし、異常な事件が異常な環境で起こった、としておいていなければ、心の平静が保てない、という人が大勢いるのでしょう。でも、事実はそうではなく、私たちはやはり、あの事件を異常とは言えないところにいるのではないでしょうか。そして、「ネット」と言うキーワードは、そのための、自分自身を甘やかすための「言い訳」に使われている。今回の事件で「ネット」というキーワードの使われ方が、本当は炙り出されたのではないか、と私は思います。

  あなたも、誰かを殺したい、と思うほどの恨みを持ったこと、ありませんか?

 

 

 
     
   
  ※ここでは、このコラムの著者三田典玄氏が撮影された写真の中から、著者選りすぐりの作品を毎回数点ずつ掲載しています。  
 


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