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第19回 ネットワークエンジニアを目指せ
 

 

●「ネットワークエンジニア」とは?

  インターネットや企業のネットワークの管理などを行うエンジニアのことを「ネットワークエンジニア」と呼びます。もっとも、既にネットワークを持っている会社などの団体の場合は、ネットワークエンジニアと言う呼び名よりは「ネットワーク管理者」という言い方や「システム管理者」という言い方のほうが一般的なようです。
  前にもこのエッセイに書かせていただきましたが、ネットワークエンジニアという職業そのものは、実はごく最近になってできた単語です。なぜならば、ネットワーク以外のエンジニアリングというものの比率のほうが、もともとはシステム管理には多かったからです。

  数々のITのエンジニアリングはどこでも必須となってきていますが、とりわけネットワークに関するものが、最近は多く知識として求められているために、こういった「ネットワークエンジニア」という言葉が多く出てきているのです。

●ネットワークだけでは動かない

  最近、未来の家電として注目を浴びている「ネット家電」は、インターネットなどのネットワークに接続されて、操作などを遠隔地で行えるようにする、などの機能を持った家電です。こういうものが多く使われるようになってくると、当然ですが「ネットワークエンジニア」は必要なものになってきます。
  つまり、ネットワークの管理に特化したエンジニアというのは需要がある、ということになります。また、ネットワークにつながれる家電その他の機械類やコンピュータも、開発を必要とします。つまり、これらの新しい機器の開発技術者も必要になっています。

●開発技術者は中国から

  ところが、米国はシリコンバレーでも、また日本でも、かなり前から中堅の開発技術者にはあまり需要がありません。これらの技術者は中国などで調達する、ということが、最近は大きな流れになりつつあるからです。つまり、モノを開発する、という、ある意味ハードな仕事は、より人件費の安い国で行うことにより、製造コストの削減を図るわけです。

  また一方、国内でしか調達できない、ネットワークの維持などの必要なエンジニアは、日本国内で調達する、という流れが出来つつあります。つまり、開発は開発が安いところで行い、それ以外のシステムの保守やサービスなどの業務は国内の人員で行う、というわけです。

●保守技術者、サービスエンジニアは国内で

  ということになると、日本国内では「開発技術、製造技術を持つ技術者」が今後は減っていく、ということになります。既に大きな企業はグローバル化されていますから、この流れは止められないと考えられます。そうなると、日本は米国のように、政府のお金を研究開発にきちんと向けないと、新規の技術の開発の力がどんどん衰えていくことになります。
  その証拠に、と言ってはなんですが、最近はH2Aロケットの打ち上げ失敗、そして、新幹線の車輪のボルト抜けの事故、などなど、今までは考えられなかったような「事故」が頻発しています。研究という頂点に近い仕事だけではなく、応用技術にも、それなりの「投資」を行わないと、日本の「製造する力」は、いよいよ衰えていくことになります。

●技術は衰えてもいいか?

  しかしながら、私たちがかつて学校の社会科で繰り返し習ったように「日本は資源がないので、資源を買って、それを加工して輸出して国の富を増やさなければならない」という「基本」からは、それは遠ざかっていくことをも意味しています。

  富を生むのはこういった「技術」「製造」だけでしょうか?既に世界の製造工場を一手に引き受けることになったとさえ言われる中国や台湾、インドなどはその「技術」という富の源泉を、日に日に多く手にしていき、日本や米国はその技術を日に日に減らしているように見えます。これでよいのでしょうか?という議論が多く聞かれます。

●もう技術の時代ではない?

  しかしながら、ある程度の富を蓄えてきたがゆえに、日本と言う国の人件費は上昇し、国際競争力を失ったわけです。
  国という単位で人件費が上がってしまった日本では、当然中国などに太刀打ちできるわけがありません。そしてこの道は逆戻りできない。もし、逆戻りすることがあったら、それは日本と言う国が破滅に向かって下降をしているときに他なりません。

  ですから、日本は本当は製造技術ではないものを持つ「持てる国」「富める国」としての役割を、いよいよ果たす必要が出てきたのだ、という自覚が必要なのではないでしょうか?
  それが製造とか技術というものではないとしたら、きっとそれは「お金」しかないのです。 ひょっとすると、日本と言う国は既に製造や技術といったものをもう必要としていないのかも知れません。また、それを求められてもいないのかも知れません。だとしたら、子供が大人になるように、いよいよ、「金融の日本」を作る、「情報とサービスの日本を作る」ことが必要なのだと思います。

  つまり、これから大切なのは「維持していく技術」に他なりません。エンジニアの持つ技術が必要なくなる、ということはありえませんが、その社会的な役割は、おそらく「新規のものを作る」ことから「今あるものを維持、発展させていく」ことに変更されたのだと思います。

  だから今、「ネットワークエンジニア」なのです。