●470万人分の個人情報流出事故
2004年の2月24日、日本のYahoo!BBの利用者や申込者の個人情報のほとんどすべてが外部に流出し、それを名簿会社などが手にしている、というニュースが流れました。
ほとんどの新聞社やマスコミが非常に大きく報道したため、Yahoo!BBの株価はすぐに大幅な下落をした、というほどです。なにが原因か、はっきりしたことはつかめていない、とのことですが、その個人情報の数からいって、これは大変に大きな事件であることは論を待ちません。
また、25日には会計ソフトウエアの開発メーカーで、TVCFなども流しているオービック・ビジネス・コンサルタント社が、自社の顧客データの入ったフロッピーディスクを紛失した、というニュースもありました。
●自分の情報の価値
こういった「名簿」は、前々から、既にヤミでかなりの取引がされている、ということは、公然の秘密、という状態ではあります。名簿はそれをお金で買う人がいるほど、価値のある情報である、ということです。
情報の流出をされた個人としては、大変に腹が立ちますし、その情報が何に使われるかわからない、という怖さがもちろんあります。
でも、自分の個人情報を外部の誰かが持っていないことには、社会生活もままならない、というのは事実です。ですから、政府は住民の情報を持っていますし、Webサイトでなんらかのソフトウエアやデータ、画像などをダウンロードするときに、個人情報を書くことを強制されたりすることもあります。
ある意味、個人情報というのは、その情報元である個人そのものとしては、自分の管理外の「どこか」に常にあるのは当たり前のものですし、場合によったらそれが必要なことでもあるので、ある意味仕方の無い面もあります。
一方、この情報を正式に一括管理する政府や団体、会社は、これらの情報を守る手立てを通常はしているものですから、それなりの認識はあるはずです。つまり、こういった流出は事故であることがほとんど、ということになります。
いずれにしても、情報の元である個人とその正式な情報を持つところでは、持っていて当たり前、という同意があるので、ある意味、あまり大切には思えないで、こういう情報を扱うことも多いのではないでしょうか。
●「名簿」の価値が生じるところとは?
こういった名簿の価値が生じるところ、言い換えれば名簿欲しさにお金を払う「会社」などの、正式に個人情報を扱う団体ではないところこそが、名簿の価値を本当に認めているところになることは言うまでもありません。
具体的には、実際に価値が生じるところは、その名簿を使って、商品などのダイレクトメールなどを送る必要のある会社、ということになります。要するに名簿を使って勧誘を行ったり、通信販売などをしている会社ですね。
●法整備はここから
ということは、こういった個人情報の保護とその罰則の規程は、価値を生じる名簿を使って商売をする「使用者」の会社にこそ、厳格に適用されるべきであると思います。
つまり名簿の流出をしてしまった会社の罪をことさら問うよりも、さらに厳しく問うべきは、その名簿を使う会社であると思います。その「需要」そのものをたたく、ということをするべきです。そうしないと、名簿流出などの事故は後をたたない、というのが私の考えです。
しかし、まだそういったほうの整備が不完全である現在、私たちはどのように自己防衛をしたら良いのでしょうか?
●個人ではどう気をつけるか
たとえば、音楽やソフトウエアのダウンロードができる代わりに、そのサイトに自分の個人情報を開示しなければならない、というようなときは、なるべくそのソフトウエアを使わないか、あるいは、電話番号、住所、メールアドレス等は、虚偽のものを用意しておき、これを登録する、などの方策が必要です。
メールアドレスはできるだけ使い捨てメールアドレスのサービスを利用するなどの工夫も必要です。こうすることによって、自分の個人情報を外に漏らすことを防ぐことができます。
また、虚偽ではなくとも、自分の名前などに「山田次男XX登録」などの、自分の個人情報をどこに開示したか、などの情報を付け加えておけば、その情報を元に、漏洩した情報の元がどこか、などを知ることができます。もちろん、本人に無断で個人情報を流したその会社には、二度と登録などをしない、その事実を広めて周知する、などが必要となります。
個人情報の自衛。それは、ますます必要になってきています。
個人情報は、私たち自身がそう思っていなくても、それがまとまった数になったときに、大変な価値を持つものに変身し、それを価値と感じることができる立場にいる人に買われる情報となります。
私たち一人ひとりが、自分の情報を出すときに気をつける以外に、現状ではこういう問題を解決することはできません。
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