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第12回 米国と日本人の就職
 

 

IT、というか、コンピュータができ、インターネットができた国。それを必要とした国は米国です。コンピュータを昔から仕事にしている人間にとって、米国は「あこがれの地」でした。今回はその「あこがれの地」の就職のお話です。

◎あこがれの米国?

 現在年齢が40歳以上の方は、米国というと「あこがれの地」であった記憶があると思いますし、今もそう考えている方も多いと思います。この年齢の方々は、私も含めて、生まれたときから米国という国のいろいろな「新しいもの」を見て、聞いて、育ってきました。ですから、「米国」というとなにかすごいことがある国、という印象があります。

 「自由」「アメリカンドリーム」などという言葉を頭に思い描く方もあるかと思います。実際のところ、米国と一言で言っても大変に広いところですし、多くの国から人が集まるところですから、いろいろな「夢」が交錯している、というばかりではなく、人種も多様ですし、場所も都会から田舎まで、大変にバリエーションに富んでいます。人種差別が激しい地域もあれば、そうでない地域もあります。日本から行った人が住みやすいところもあれば、そうでないところもあるので、「これがアメリカだ!」というものは、本当は無いと思って間違いありません。

◎September 11以降は変わった

 そういう米国でも、実はあのテロ事件以降の変化は相当なものです。テロの対策のため、市民の自由が制限されるのは当たり前、と感じられることが多くなっています。それくらい、あのテロ事件は米国の政府や国民にとって、大変なダメージだった、と言えるでしょう。

 「ああ、アメリカってこんなに脆かったんだ」と、多くの人が深く思い知らされた出来事だったのですね。そこでは、いま空港での荷物チェックは特に厳しく、さらに、日本人も含めた有色人種へのチェックはことさら厳しくなっています。

 さらに、市民の自由の制限や移民などの制限も厳しくなっています。もっとも、米国は大量の移民を受け入れて、その移民の需要で経済的に潤ってきた国ですから、制限ばかりをしているわけにはいかないのですが。私も20年ほど前から米国に仕事で何度も行き来していて、昨年は半年ほど米国にいましたが、たしかに「あの日」以降、あの国は変わってしまった、というのが正直な感想です。

◎米国のビザを取るには

 米国で仕事をするために、一番手っ取り早いのが、日本にある米国と密接な関係のある企業で働くことでしょう。小さな会社から大きな会社まで、さまざまな会社があります。そういう会社でビザをもらい、米国で働く。

 また、最初は学生として米国に渡り、学生ビザで勉強をし、米国の企業に入り、ワークビザを取得する、という方法もあります。もっとも、学生ビザも最近はテロ事件の影響でかなり制限が厳しくなっていて、かつてよりも取るのが大変になっているようです。

 米国大使館のホームページで調べると、米国では毎年、「くじ」で米国の市民権を当てる、ということができる「DVプログラム」があり、これに応募する、という手もあります。 「米国で暮らす方法」はたくさんあります。が、米国で働く上で本当に大切なのは、実は「意志」です。

◎Do IT yourself !

 昨年、米国で仕事をしていたとき、日本から来た様々な人たちにもお会いしました。しかし、ほとんどの人がしばらくしたら日本に帰っていきます。多くは夢を見たくて米国に来たけれど、年をとってくると、結局は見る夢もなくなって国に帰る、というパターンが非常に多いのです。

 つまり、帰るところがある、そして、その帰るところが経済的に適当に豊かな国であれば、米国でかなえられる夢はそう大きいものはない、ということをほとんど人が実感するからです。

 どうしても、これをしたい、年をとっても、なにがなんでもこれをやって生きていきたい、という強固な意志があっても、チャンスが巡ってくることは稀であることは、どの国にいても同じです。けれども、米国という国はとくにその「意志の強さ」がとても大切になる場所だ、と思います。

◎日本人の米国漂流のパターン

 米国で、とくに仕事で世界各地から来た「強豪」と手合わせができる、という場所は、おそらくニューヨークを除いては他にありません。そのニューヨークという都市の迫力というのは圧倒されるほどです。人種のるつぼであると同時に、仕事のるつぼ、そして、一流の人間のるつぼでもあるニューヨークで成功すれば、まさに世界で成功した、と言えると思います。

 しかしながら、ここでは「生きていくだけでかなりの意志の強さ」が必要です(もちろん、知力とともに体力が必要なのはいうまでもありません。運も、もちろん必要です)。ここではまず、自分よりも「できる」人間が多いことに尻込みをしてしまう。すると、ここじゃだめかな、といって、東海岸の別の都市に移る。そして、温暖で過ごしやすい西海岸に移る。次に、西海岸でおそらく一番「だらけた街」であるロサンゼルスに行き着き、そこであきらめて日本に帰る。

 多くの日本人はこうやって米国を後にする人がとても多いのです(全部とは言いませんが)。もちろん、その途中で適当に永住する権利を得て、永住してしまう人もいます。しかし、ロサンゼルスという街は日本人が大変に多く、一日、英語を使わないで日本語だけで暮らせる、という場所も多くあります。

◎米国の実際

 実際、米国という国はそのGDPの半分を、人口の1%の人たちが持っている、という極端な貧富の差がある社会です。

 すべての人にアメリカンドリームを持たせることはしても、ほとんどの人の「アメリカンドリーム」が「ドリーム」のままで終わるようにできているのです。言い方を変えれば「だまし」です。けれども、それはそれで良いのではないか、という考え方もなくはありません。

 夢を見に行くなら米国はとても良いところかもしれません。だから、夢が見られない年齢になってくると、頭が冷えてきて、みな現実に帰り、日本を思うようになってしまう、というわけです。もっとも、そこで頭が冷えてしまうようでは、アメリカという国で成功はできない、ということも事実です。なにせ世界から人が集まっているわけですから前後の見境も自分の人生も家族もすべて捨ててなにかに打ち込んでいる「きちがい」も大変に多くいるところです。並大抵の思いこみやバイタリティでは、そういう人間たちと張り合うことができません。

 米国で暮らすことは、一秒の緩みもなく、夢を持って暮らすことです。それも生半可な夢では、いくら運が良くても勝ち目は最初からありません。

◎「厳しさ」だけではないが

 その反面、米国は、楽をして暮らそうと思えばこれほど楽な国もない、という国でもあります。お金がなくてもクレジットカードがあれば借金をして暮らしていけますし、借金の踏み倒しや自己破産もかなりの数にのぼり、日常茶飯事です。
  実際、米国人の平均年収は約150万円ほどですが、最低必要年収は200万円を超えています。つまり、多くの人が借金で暮らしている、というのが現状なのです。

 また、自己破産をしても一定の期間が過ぎればまたクレジットカードを手にして、楽しい日々が始まります。適当に仕事をして、適当にやっていける、という日常に埋没してしまえば、こんな楽な国はありません。そのため、最初は緊張していた人が徐々に「堕落」していき、最後はホームレスまで行く人も大変に多くいるのです。
 日本から夢を持ってきた人は、この時点で夢が潰えて日本に帰る、というわけです。その人たちは一様に「なんだ、アメリカってこんなものか」と言って、かの国を後にするのです。

◎結局は自分自身

 米国で仕事をするときの心構えは、簡単に言えば「他人以上の成果が出せるか?」という絶え間ない競争に自分を晒すことで、自分を高める、ということができるかどうか、という「自己鍛錬」の自覚と実行にあります。これが日本以上に厳しいものだ、ということです。

 しかしながら、それさえあれば、米国では一定の成功を収めることも単なる夢ではなくなります。自分を信じて、夢を信じて生きていけるかどうか、なのですね。あとは運、ということになります。
 でも、そういう心構えであれば、米国だけではなく、もちろん日本でも十分に通用する「仕事師」になる、ということは言うまでもありません。

 「どうせ一度しかない人生だから、一度はこんな勝負がしてみたい!」と思う方は、是非米国で仕事をしてみることをおすすめします。厳しく、しんどい代わりに、わくわくした、おもしろい人生が送れるはずです。

 あなたの人生をギャンブルのようなものにするか?それとも、もっと堅実なものとして考えるか?それは、拙文をお読みのあなたご自信が判断することです。

  え?それでも行ってみたい、って?まずは米国でのご成功、お祈り申し上げます。