インターネット実務検定協会 インターネット実務検定協会ロゴ
ホームに戻る 協会の概要 Q&A コラム リンク お問い合わせ サイトマップ 資料請求
 
   
  パソネタ3分クッキング  
   
     
 
第11回 本音を語ろう!IT業界であなたはなにをするか?
 

 

 

◎IT業界の給与は?

 IT業界の給与は同年の他業種と比べると、ちょっとだけ良い、というのが偽らざるところだと思います。
とは言うものの、IT業界にもいろいろな仕事があり、職種も多様です。

 IT業界の給与は金融などの業界に比べるとやはり低いと感じますが、金融もまた、いろいろな職種の集まりですから、これも一概に言えることではありません。

 就職をする側にとって、給与を「業種」でとらえる、というのは、実はあまり意味がありません。むしろ、職種別に給与の体系がある、と考えるほうが理にかなっています。
 いまや、どの業種にもITが浸透していますから、どこでもIT知識に長けた人間は必要とされています。逆に、最低限のIT知識がないと、どの業種でもあまり給与を高くはできなかったりします。

◎雇う側と雇われる側の事情

 IT業界では「この業界は若い人間でないと使えない」とよく言います。

 これには、2つの意味があります。まず、独身者でないと、給与が安くできません。次に、妻帯者で子供がいると、家庭の事情に振り回されて、集中した仕事ができない、ということもあるでしょう。これらは雇う側からの見方です。

 しかし就職する側から見れば、将来は結婚もしたいし、子供もほしい、できれば持ち家もほしい、となると、雇用側の事情とあわなかったりします。

 若くて元気があって、給与が安い人員を、雇用する側が望むのは、ある意味当然のことですから、結局両者の事情や意見の相違がでてきます。
  IT業界での仕事、特に技術職は徹夜も多いなど、かなり「しんどい」職種も多く、体力は必要です。つまり、もともとこういったそれぞれの立場の相違はあって当たり前、ということです。あとは、時代の流れによって、雇う側が弱ければ給与を増して人を呼ぶことになったり、逆に雇われる側が弱ければ安い給与の仕事でも甘んじてやらなければならない、ということになります。こればかりは、まさに「ときの運」という感じがあります。

◎「学者」は?

 現在、私は国の研究所で仕事をしていますが、総じて学歴の高い人たちが多い職場です。しかし、給与は世間一般と比べて、そう高いということはありません。名誉はあるけどカネはない、とよくこぼす人たちがやはり大変に多いのです。
 おまけに、大企業のサラリーマン以上に地位が安定しない人も大変に多いのです。結婚したくてもできない、という経済事情の方も多数見かけます。

 行き先がどんな給与体系の場所であろうと、自分の「先生」や「先輩」からの「お達し」があれば、「転職」しなければなりません。民間企業の間を転職する場合は、どちらかと言えば「給与」を基準に、より良いところを、と考えることもできますが、この世界ではそういう「わがまま」は許されません。

 結局、研究のほかにすることはないし、知らないことがふつうですから、この世界で生きていくためには、この世界からはじき出されるようなことはできません。博士号を持った人といえども、結局はそういう就職事情に縛られる人がほとんどなのです。

◎IT業界で生き抜く法

 さて、どちらを向いても明るい話題が少ない、というのはどの業界でも同じですが、大学を出たり、専門学校を出たばかりのあなたは、その安い給与故に、「売り手市場」であることがほとんどです。

 この年でなまじっか人に誇れるような技術を持ってしまうと、逆に雇ってくれるところが減ったりすることもあります。まさに給与もデフレの時代なのですね。

 しかし、この業界では40歳になっても結婚もせず(できず)、ふつうの人の30代前半以下の給与で働く人も山のようにいます。すでに、今はかつてのように、大企業であってもその人の一生を面倒を見る、というわけでもない社会ですから、やはり頼るものは自らの腕一本、ということになります。

 こういう社会で必要なのは、いま流行している「技術トピック」を持っていることではありません。ネットワーク技術者が良い、というからネットワーク技術を、というのでは、すでに「出遅れ」です。半年以上先になにが起こるか?という「予測」にもとずく技術の習得こそが本当に必要なのです。

◎明日を見抜け、ペシミストになれ、あら探しをしろ!

 IT関連の情報サイトでの毎日の情報収集を怠らない、ということはもちろん必要ですが、その中から、現在はあまりお金にならなくても、近い将来お金になるものを、自分なりの目で探す、ということはとても重要なことです。

 たとえば、いまIT業界で話題になっている「新しい」キーワードの1つに「グリッド」があります。ネットで接続された世界中のコンピュータをあたかも1つの巨大なコンピュータと見なして使うことができるようにするこの技術は、すでにビジネスへの応用などが考えられています。でもグリッドの仕事はどこにもたくさんころがっているものではありません。ほとんどないと言っても良いと思います。

 バラ色の話ばかりを聞く「新しいもの」に、落とし穴はないでしょうか?こういう「問題」は、誰に聞いても、どこの文献を見ても、通常は「良いこと」しか書いていませんから、そういう「悪いこと」は、結局実際に触って確かめてみるとか、調べて見るなどして、「自分が」「自分の頭で」答えを出す必要があります。
 それを推進したい人たちは、当然ですが、良いことばかり言うに決まっているのですから、ここは一つ「ペシミスト」になって、アラ探しを、自分の頭と経験でやってみましょう。すると、その過程で、実はたくさんの勉強をすることになり、それが明日の自分の新しい世界への鍵となることが実は大変に多いのです。

◎価値のある技術者になるには

 現在世間にふわふわと流通している、きれい事の情報だけをただ受け止めているだけでは、結局多くの人と同じです。
 舌鋒鋭く人の迷惑を顧みずに本質を突いた「迷惑なことば」で、そういう世の中に挑戦的に挑むと、敵が姿を現してきます。

 人間というのはおもしろいもので、敵がいないと、自らの成長もあり得ないものです。敵のいない人は真剣に勝負する場面が減るから、実力もつかないわけです。

 今は、このコラムをお読みの多くの方々の親たちが経験した「平和な日本」ではありません。年間三万人もの働き盛りの人々が、職もお金も尽きて、家族を残して自殺する、という、まさにサバイバルそのものの世の中です(この数字は先進国中最多です)。

 就職する企業に「雇ってもらう」のではなく「どう利用するか」を考える人こそ、企業が望む人であり、他との競争により良い結果を出す人となります。
 IT技術の分野では、この挑戦的な精神がなくなってきている、ということが実は一番の問題と思います。こういう世の中にあって、価値のある技術者、研究者とは、やはり「疑問」を持つことに躊躇しない人であり、その疑問を徹底的に追及する意志と知恵を持つ人です。

 なぜかというと、技術の世界は相手が機械ですから、「動かなければ動かない」ということが徹底しているからです。人間相手であれば、理論的には間違っていることでも迫力などで相手を説き伏せることはできるかもしれませんが、技術の世界ではそういう妥協が一切ないからです。

 価値ある技術者になるためには、そのための険しい「道」があります。でも、その道の入り口は誰にでもすぐに見つかる、目の前にあるものです。その入り口に入るかどうか?それは実はあなた次第です。そして、これまでも、一流と言われる多くの技術者や研究者がこの入り口を通った、ということ忘れないようにしましょう。