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第60回 Googleアラート
 

 

●アラートの使い方

  ある注目しているミュージシャンの人の名前を、Googleのサービスの1つである「Googleアラート」に入れておきました。

  「Googleアラート」のサービスは、自分の注目しているキーワードをそこに設定しておくことによって、全世界のWebから、そのキーワードを常に検索しておいて、新規にそのキーワードが現れたWebやblogを教えてくれます。自分が不在のときにも、Googleアラートが勝手に検索をしてその結果を教えてくれる、というサービスなのです。

  そして、ある日、そのGoogleアラートからメールがきました。新しいそのキーワードを持つWebが発見された、ということです。そして、そのメールにあるリンクをクリックしたところ、そこにはすでにそのミュージシャンの名前はありませんでした。

●キャッシュ

  Googleのキャッシュには、そのミュージシャンの名前を消す前の原文が残っていました。なんらかの理由でネット上に名前を出したくない、と思っていたそのミュージシャンの人は、そのblogに出た自分の名前を見て「自分の名前は削除してくれ」と、要求したのかも知れません。そして、それはちゃんと削除されました。

  しかし、一瞬だけ出たそのミュージシャンの名前をGoogleアラートは見逃しませんでした。アラートにその名前がひっかかったため、私はGoogleのキャッシュに残る、そのミュージシャンが見て欲しくない、元の文も見ることになりました。

●Blogの両面性

  いま、blogは簡単に誰でも書くことができます。あまりに手軽なため、すでにblogを書いている人は日本でも400万人を超える、という総務省の統計もあります。しかし、便利な道具は便利なだけではありません。こういう都合の悪いことも、みんなさらけ出してしまいます。

  インターネットがまだそんなに普及していなかった10年ほど前は、こういうことは本当に有名人だけが、マスコミなどでの記録の残る発言に対してだけ行われていましたし、そういう人たちにはその発言には責任を持ってもらう必要がありました。ですから発言は記録され、今言ったことが過去と違う、ということになれば「それはなぜなのか?」を追求されました。

●責任を持った発言を!

  今はそれが、その発言に責任のある人たちだけではなく、責任の無い人たちにも、大きな責任を負わせようとしています。冒頭に私が書いた「ミュージシャン」であれば、売れていようといまいと、ショウビジネスで仕事をしている以上、こういったことで自分がネット上に名前を出す、ということは、当たり前に必要になりますし、それについていろいろ言われるのは、有名料とか保険料みたいなものと考えることもできます。

  しかし、有名でもなんでもなく、発言に大きな責任のなかった人が、また、そういう経験もなかった人が、手軽に自分の意見を言えるから、ということでblogを始めたりWebを始めると、その責任の重さにびっくりします。
  特に日本では「自分の発言に責任を持つ」ことの重さについて、あまり教育されていないことが普通です。ですから、こういった責任とその結果を目の前にして、みんなたじろいでしまうのです。

  こんなことをするはずではなかった。こんな発言はしなければよかった、と、思っても、それは既に遅いのです。なにかを批判するとき、なんらかのリアクションを想定しつつ、文言を書くということには慣れていない人が多すぎるのです。ネットに名前を出し、自分をPRする、という行為は、要するにそういうリアクションをも受け入れる、ということに他なりません。いいことばかりではないのです。

●記録は残る

  私はある雑誌で数十回の連載記事を持っていました。そのときも批判は数多くしましたが、いつも「これで連載は打ち切られるかも知れないな」と思いつつ、その「活字になる責任の重さ」をかみ締めつつ、毎回の連載を書いていました。実際、トラブルも数回はあったことを記憶しています。

  後で気が付いて書き直してもその記録が残る。見知らぬ誰かが、その記事を読んで不快な思いをする。それにもまた気配りをしつつ書く必要がある、というメディアがblogなのです。
  文章は責任の重さをかみ締めつつ、本来は書くものです。しかし、そういう意識はまだ多くのbloggerには無いように、私には思えます。

 

 
     
   
  ※ここでは、このコラムの著者三田典玄氏が撮影された写真の中から、著者選りすぐりの作品を毎回数点ずつ掲載しています。  
 

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