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第44回 ICタグの普及
 

 

●電子マネー

  最近は、買い物をするときにEdyなどの電子マネーを使えるところが大変に多くなってきました。飛行機に乗るときもICカードをかざして通り過ぎれば、それでチェックインも、セキュリティゲートの通過も終了、というところも多くなりました。
  また、個人の認識にこのカードや、カードの中に入ってるICチップを使うことも多くなり、これらの「ICカード(の技術)」は、いよいよ実用域に入ってきた、という感じがします。

  加えて、JR東日本のSuica、JR西日本のICOCAなどは毎日使う方も多いことと思います。また、このチップを埋め込んだ携帯電話は、これらのカードとの連携で、かなりのTVCFが流され、ご存知の方も多いと思います。いわゆる「おサイフケータイ」と言っているものですね。

●小さなチップ

  これらの技術は、まとめて「RFIDタグ」と呼ばれています。カードそのものに電池などの電源を必要としない小さなICチップを用意し、このチップの中にそのチップだけのユニークな番号や文字をそれぞれに入れることができます。
  また、このチップの動作のための電源は、これを読み取る装置(ICカードリーダ)の出す電波です。この電波をICチップ内で微弱な電源に変え、その電源を使ってICが動作し、なかにあるカードの番号を微弱な電波でカードリーダに送るのです。

  そのため、今までの磁気カードのようにカードをなにかに接触させてその情報を読み取る、ということをしないで、カード内の情報を取ってくることができます。こういうカードのことを「非接触型ICカード」と呼びます。

●高速なインフラ

  これらのカードの中のICには、通常は書き換えられる情報は入っていません。単にID番号が入っているだけです。このID番号をカードリーダが読み取ると、その情報がデータ通信ネットワークを通じて中央のコンピュータに送られ、そのカードの認証等が行われます。電子マネーは、そのときに、お金の残高の情報などのチェックやお金を引き出す、などの情報のやりとりを行うわけです。
  つまり、ICカードはその背後にある巨大なデータ通信網とデータベースシステムに支えられているのです。逆に言えば、このセンターがおかしくなったり、通信が途切れることがあれば、これらのシステムはみな大混乱に陥る、ということになります。そのため、これらのインフラはかなり慎重に、かつ高速に、そして数々の技術を使って信頼性高いものとして構築されているのが普通です。

●防犯への試みとプライバシー

  このICタグを使って防犯などの目的を果たそう、という試みもあります。

  たとえば、神奈川県では実験として公立の小学校で児童らを対象としたセキュリティ実験を行いました。しかし、父母などの意見は賛否両論に分かれたようです。

  つまり、セキュリティを重視するあまり、個人のプライバシーなどの問題が出てくる、というわけです。

  考えてみれば当たり前のことですが、ICカードに限らず、これらの話は多くこれまで語られてきました。しかし、今回のシステムは以前とちょっと様相が違うかも知れません。というのも、前記のようにこれらのシステムは巨大な通信とデータベースの存在が背後にあるため、それらが結合すると、個人の消費情報、行動、などがすべて把握できるシステムになる、という恐ろしさがあるからです。

●誰かに見られている

  たとえば、あなたが朝起きてネットにアクセスすると、そこでどのサイトでなにをしたかの記録がどこかに送られる。仕事場に行く途中で昼食をコンビニで買うとき電子マネーを使うと、あなたが毎日どこでなにを買ったか、という情報が蓄えられる。さらに、GPSつき携帯電話で、会社を終わったあとにどこに行ったか、まで把握される。
  これらの情報がひとつになってしまったとき、あなたのすべてが、自分の知らない誰かにすべて把握されている、ということもありえるわけです。誰かがほんのちょっとの操作でこんなことができる、という世の中はたしかに誰が聞いても気持ちが悪いと思います。

  ICカードのプライバシーの問題というのは、実はそういうことなのですね。いよいよ、個人情報についても小説の世界が現実のものとなってきた、それが今なのかもしれません。

 

 
     
   
  ※ここでは、このコラムの著者三田典玄氏が撮影された写真の中から、著者選りすぐりの作品を毎回数点ずつ掲載しています。  
 


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