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第28回 デジタル一眼レフは過去の遺物か?
 

 

●デジタルカメラ市場の進化

  7月はじめのカメラメーカー各社の「デジタル一眼レフ」の出荷台数予想によれば、2004年度はニコンだけでも240万台以上、キャノンでは450万台、という数字がはじき出されています。

  デジタルカメラの高級ものとしての「デジタル一眼レフ」は、たしかに多く売れています。低価格のものだと、値段も10万円台前半になり、買いやすい価格帯になってきてもいます。デジタル一眼レフは私の周りでも、かなり多く見るようになりましたし、なによりも古くからの「写真好き」という人たちがデジタルに移行するきっかけにもなっているようです。

  また、コンパクト型デジタルカメラではもの足りなくなった人たちも、このデジタル一眼レフを買う人が多いと聞きます。このままいけば、2004年はデジタル一眼レフの年になることは間違いないでしょう。ご存知のように、デレビCFも多く放映されるようになりました。

●一眼レフの意味

  ところで「一眼レフ」というカメラの形態はなぜできたのかと言うと、要するに「見たままを撮りたい」という要求から来ています。
  つまり、ファインダーとレンズが分かれている機種では、たとえばごく近くにあるものを撮った場合、ファインダーで見る画像と実際に撮れる画像が変わってきてしまう一眼レフであれば、同じレンズを通して「見る画像」と「実際に撮る画像」が一致します。もっとも、フィルムそのものに「癖」がもともとありますから、本当に「見たままに」撮れるか、というとそうではありません。また、写真を撮るときに、「ボケ」具合を重視するときがありますが、このさいには、撮影時の絞りまで絞りこまないと、写真に写る本当のボケがわかりません(絞りの値はボケ具合に関係します)。でも、ファイダーは明るいほうがいい、というので、意識しなければ、通常の一眼レフでは撮影時のみに実際の絞りにして撮るので、一眼レフでも実際に見たままに撮れる、というわけではなくなってきます。つまり、「見たまま撮りたい」になるべく近くなるように、と考え作られたのが「一眼レフ」です。

●「デジ一眼」は必要なかった

  時代は変わって、カメラもデジタルの時代になりました。CCDやCMOSの撮像素子がフィルムにとって代わられた時代です。そうなると、ファインダは液晶モニタとか、あるいはEVF(Electronic View Finder - ファインダーが液晶モニタになっている)になります。つまり、フィルム時代の一眼レフよりも、さらに「見たままが撮れる」時代に入ってきたと言うことです。
  通常の一眼レフでは、ファインダを覗いているときだけ、フィルムの前に45度の角度で鏡が立ちふさがり、ファインダにその光を供給し、撮影時のほんの一瞬、その鏡が上に跳ね上がって、フィルムに光を当てます。しかし、デジタルカメラでは、そういう機構をわざわざ用意するまでもなく、撮像素子に映っている画像の電気的情報を、そのままファインダに送って表示させ、撮影時にはそのスイッチをメモリに蓄える回路に切り替えればよいだけです。
  機構的な精密さや複雑さが一眼レフほどには必要ないので、カメラも壊れにくくなります。当然、カメラのコストのダウンにもつながり、良いことずくめです。なによりも、デジタル化されたがゆえに、一眼レフが目指していた「見たままを撮る」が本当に、初めて実現されたわけです。つまり、デジタルカメラという形態では、少なくとも機構的なしくみとして、本当は一眼レフという形態は必要なかった、と言えるでしょう。

●「デジ一眼」ができたいきさつ

  そういう意味でデジタル一眼レフというのは、フィルムカメラのへその緒を引きずった「中途半端なヤツ」ということになります。
  なぜそういうことになったのか?というと、EVFにする場合、本当に見たままにするほど精細度の高い液晶EVFの素子が今までなかった、ということがあります。現在100万画素級の高精細EVFを搭載しているデジタルカメラは1機種だけですが、ここまでいかないと、EVFは「見たまま」になりません(このクラスですと、マニュアルでのピントあわせも非常に楽です)。さらに大きな問題は「社会的認知」です。つまり、「一眼レフ」という形態のカメラは「高級」というイメージが染み付いているため、「おお、デジタルにもやっと一眼レフができたか!」というような意味合いで、デジタル一眼レフを見る人がとても多い、ということです。

  本当はデジタルとネットワークの時代にあっては、その目的を考えれば、「一眼レフ」というカメラの形態自身が時代遅れになっているものなのですが、多くの人は「なぜ一眼レフができたのか」という経緯を忘れてしまっている、あるいは、考えないために、カメラメーカーは「一眼レフ」という形態を維持していかざるを得ない、ということだと思います。

●デジカメのさらなる発展

  カメラ自身のテクノロジーのみを考えるのであれば、たとえば、デジタルカメラに無線LANをつければ、クルマの中に置いておいたPCに画像を直接送って、「メモリカードいらず」のデジカメもできます。また、最初からHDD内蔵のデジカメ、というのもいまはできるはずです。

  でも、メモリカードの市場をいますぐにつぶすわけにはいかない(実際はできないですし)ので、こういうカメラはメーカー内部で考えられはしても、表には出てきません。でも、カメラも映像情報機器の一部である以上、デジカメのネットワーク化は避けられません。カメラという製品分野さえ、趣味のカメラの分野を除いて、いずれはなくなっていくものかも知れません。

  それでも私はデジカメのデジカメたる「ホンモノ」の出現に期待しています。

 

 

 
     
   
  ※ここでは、このコラムの著者三田典玄氏が撮影された写真の中から、著者選りすぐりの作品を毎回数点ずつ掲載しています。  
 



L.A. The UNIVERSAL STUDIO 2