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 普通のLANは、イーサネットという仕様で各マシンが接続されている。パソコンやサーバー機にはネットワークカードが装着され、そこへ10BASE-Tないし100BASE-TXのケーブルを差し込み、そのケーブルをハブに集約させて物理的に結線する(10BASEは10Mbps、100BASEは100Mbpsのデータ伝送を表す)。

 物理的な結線が済んだあとは、サーバー機やパソコンでしかるべきプロトコルを動作させるようにする。これでファイル共有、プリンタ共有、そしてインターネットへの常時接続などができる環境になる。

 現在、こうした「有線」のLANが「無線LAN」に置き換わる動きが見られる。

 無線LANでは、ケーブルの代わりに2.4GHz帯の無線を用いる。この2.4GHz帯というのは、行政の許可がなくても使える帯域で、つまりそれ用の機器を買ってくれば企業でも個人でも自由に使うことができる。

 イーサネットケーブル用の「穴」(ポート)があるネットワークカードの代わりに、「アンテナ」(あまりアンテナのようには見えず、サイズも小さい)のついたネットワークカードを装着し、ハブに相当するものとして「アクセスポイント」と呼ばれるものを用意して、そこでデータの出入りを管理する。

 無線LANの機能は、従来型のLANが無線に代わっただけと考えればよく、できることとできないことに変化はない。ただし、データの伝送速度は10BASE-Tの1/3程度に落ちる。

 ここからが本題だ。この無線LANのアクセスポイントをしかるべき密度で張り巡らすと、ドコモがやろうとしているW-CDMAサービスに似たようなモバイルの高速通 信サービスができるようになる。まだ「可能だ」という域を出ないが、決定的に有利なのはコストがかなり安く済みそうだという点。

 ドコモが年間数千億円をW-CDMA網構築に振り向けるのに対し、無線LANのサービスインフラは、多めに見ても1桁少ない金額で敷設できる。電柱を持っている電力会社などが本腰を入れたら、すごいことになる。無線系の高速サービスの動向は今後1〜2年、まったく目が離せない。