1月末、上海に部屋を借りてしまった。もちろん部屋代はそれほど高くない。けれども比較的都心に近く、内装も割としっかりしている。家具・家電付きなのがうれしい(一般
的な賃貸物件はそうなっている)。
ネットがあればとりあえずの仕事はできる。ダイヤルアップではつらいので、ADSLを引いた。申込みから敷設まで2週間ぐらいかかったが、きちんとつながった。速度はなんと10Mbpsである。料金はしっかり確かめていないが、月額固定で2,000円程度か。
東京の仕事場では某社のIPアドレスが数個もらえるADSLサービスを使っているが、これが月4万円弱(正確にはSDSL)。上下同一速度の768k。これよりも上海で内容をよく確かめもせずに申し込んでしまった回線の方がはるかに速いので、少しやりきれない。
ものを書く立場で見ると、上海にはネタがいっぱいある。ほとんどが日本で知られていないことばかりで、高額消費を狙った小売店舗のレベルの高さとか、マンション供給の潤沢さ、ティーンエイジャーの消費カルチャーに対する感度のよさなどなど、テーマ設定はいかようにもできる。
1月20日から2月10日まで約20日間、そうしたあれこれを取材して回った。まもなく本にまとめて刊行する予定だ。
高度成長期のまっただ中にある上海にいてつくづく感じるのは、消費の原動力が"夢の実現"であるという、いまさらながらの真実だ。家電を買う、ケータイを買う、マンションを買う、クルマを買う。結婚して家庭を持つ、子どもを育てる、教育にお金を費やす。そういったことのベースにある"夢"を、何の屈折もなく膨らませていくことができる幸せなステージに、今の上海はあるように思う。
日本の中だけで経済を考えていると、結局どん詰まりになってしまう。賃金が安いといった理由で、製造拠点としてのみ中国を考えるというのも何か違う気がする。
"系を開く"と言うか、国境をはずして考えてみると、いろんなやりようが出てくるのではないか。当面
、行ったり来たりしながらそのへんを探っていきたい。
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