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  パソネタ15  
 

 音楽系の消費がファイルやストリーミング配信ではなく、CDやDVDのパッケージに 向かうという筆者の結論には、視聴環境の現状も大いに絡んでいる。

 現在のパソコンはどのように考えても、落ち着いて音楽を聴くための装置ではない し、プロモーションビデオ(PV)や映画をじっくり観ていられる環境でもない。

 確かにパソコンの音は格段によくなってきた。個人的には、サウンドブラスターの 最上位機種を差し込んで、さらにモノのよいPC用スピーカーをつないで聴いているが、 それでもオーディオ装置のようにリラックスして聴く気にはならない。何というか、 ディスプレイが目の前にある「近さ」が、リスニングという行為をむしろ遠ざけてし まうように思えるのだ。

 サウンドカードの上位機種は、品位の高い音を外部出力できるようになっているか ら、それではと思ってオーディオ装置につないでみるとどうなるか?確かにPC用スピー カーで聴くよりは、かなりオーディオ寄りの音が流れてくる。

 音自体はいいのだが、オーディオ装置から出る音をパソコン側で操作しなければな らないということに、段々違和感を覚えるようになる。頭の中の情報処理を代行して くれる環境で「音楽」というものをいじっていることが、何となくイヤなのだ。

 似たようなことが、しっかりとした映像系のコンテンツを観る際にも起こってくる。 やはり、ディスプレイが「近すぎる」。こうした近い画面では、テレビを見る行為の 延長線にある映像視聴が楽しめないのである。

 これらが経験的にわかってくると、どうせお金を出すならパッケージメディアを買 って、しっかりとした環境で聴こう(観よう)ということになってくる。

 オンラインコンテンツは、現在考えられているようなCDやDVDに置き換わる商品で はなくて、何か別のものとして向き合う必要があるように思うのだが、どうだろうか?

 ブロードバンド環境下におけるオンラインコンテンツの位 置付けについて、次回で考えてみたい。